「親名義の不動産を売却したいけれど、どんな書類が必要なの?」「子どもが手続きをする場合は、親本人が売る場合と必要書類が違う?」と気になっていませんか。
親名義の不動産を売却するときは、基本的な不動産売却の書類に加えて、誰が売却手続きをするのかによって必要になる書類が変わります。
親本人が売却するのであれば、登記識別情報や印鑑証明書など、一般的な売主の書類を準備します。一方、子どもが代理で手続きをする場合は、委任状などが必要です。
さらに、親の判断能力が低下している場合や、すでに親が亡くなっている場合は、通常の代理売却とは異なる手続きが必要になります。
この記事では、親名義の不動産を売却するときに必要になる書類を、親の状況や売却方法ごとに整理します。
親名義の不動産を売却するときに必要な主な書類
まず、親本人が売主として不動産を売却する場合に準備する主な書類を確認しましょう。
- 登記識別情報または登記済証(権利証)
- 印鑑証明書
- 実印
- 本人確認書類
- 住民票など住所を確認できる書類
- 固定資産税納税通知書など
- 不動産の登記事項証明書
ただし、すべてのケースで同じ書類が必要になるわけではありません。住所変更の有無や抵当権の有無、代理人が手続きをするかどうかなどによって、追加の書類が必要になることがあります。
また、不動産の売却では、売買契約時に必要な書類と、決済・所有権移転登記の際に必要な書類が異なる場合があります。
登記識別情報または登記済証(権利証)
不動産の所有者である親が、その不動産を売却するときに確認しておきたい重要な書類の一つが、登記識別情報または登記済証です。
以前の不動産登記で発行された「権利証」を保管している場合は、その書類を確認しましょう。現在は登記識別情報が交付されているケースもあります。
売却する不動産について、登記識別情報または登記済証が手元にあるかを早めに確認しておくと安心です。
紛失している場合でも、直ちに売却できなくなるとは限りません。ただし、通常とは異なる本人確認などの手続きが必要になることがあるため、早めに不動産会社や司法書士へ相談することが大切です。
印鑑証明書
売主である親の印鑑証明書も重要な書類です。
不動産の売買による所有権移転登記では、原則として売主の印鑑証明書が必要になります。
売却を進める際は、いつ取得した印鑑証明書を使用するのかも確認しておきましょう。
実印
売買契約や登記関係の書類に使用するため、親が売主となる場合は実印も準備します。
印鑑証明書を取得していても、実際に使用する印鑑が登録された実印と一致していなければ手続きを進められない場合があります。
本人確認書類
運転免許証、マイナンバーカードなど、親本人の本人確認書類も準備します。
不動産の売却では、売主本人の意思確認や本人確認が行われるため、本人確認書類は早めに確認しておくとよいでしょう。
住民票などの住所確認書類
登記簿に記載されている親の住所と現在の住所が異なる場合は、住所の変更を証明する書類が必要になることがあります。
特に、親が長年同じ不動産を所有していて、その間に引っ越しをしている場合は注意が必要です。
登記上の住所と現在の住所が一致しているか、売却を始める前に確認しておきましょう。
固定資産税納税通知書など
固定資産税納税通知書など、不動産の固定資産税に関する資料も準備しておくと手続きがスムーズです。
不動産会社が物件の確認をするときや、固定資産税・都市計画税の精算をするときなどに使用することがあります。
不動産の登記事項証明書
登記事項証明書には、不動産の所在地や地番、所有者、抵当権などの登記情報が記載されています。
売却する不動産の権利関係を確認するために使用します。
登記事項証明書は法務局で取得できます。また、不動産会社が取得して確認する場合もあります。
親本人が不動産を売却する場合の必要書類
親本人に売却する意思があり、親自身が売主として手続きを行える場合は、基本的には通常の不動産売却と同じような書類を準備します。
主なものは次のとおりです。
- 登記識別情報または登記済証(権利証)
- 印鑑証明書
- 実印
- 本人確認書類
- 住民票などの住所確認書類
- 固定資産税納税通知書など
- 登記事項証明書などの不動産関係書類
この場合、子どもが売却を手伝っていても、売主は親本人です。

親の不動産を子どもが手伝って売却する場合でも、売主が誰になるのかを確認しておきましょう。
そのため、子どもが不動産会社との連絡や書類の準備を手伝うことと、子ども自身が親の代理人として契約することは分けて考える必要があります。
親の不動産を子どもが管理する場合に必要な手続きについては、親の家を子どもが管理する場合に必要な手続きでも詳しく解説しています。
子どもが親名義の不動産を代理で売却する場合の必要書類
親本人が売主であるものの、仕事や遠方に住んでいるなどの理由で、子どもが手続きを代理するケースもあります。
この場合は、親本人が売却する場合の書類に加えて、代理人である子どもが手続きをすることを証明する書類が必要になります。
委任状
代理売却で重要になるのが委任状です。
親が子どもに不動産売却に関する手続きを委任する場合、委任する内容を明確にした委任状を用意します。
委任状には、どの不動産について、どのような権限を代理人に与えるのかを記載します。
実際に必要となる委任状の内容や形式については、不動産会社や司法書士に確認して準備することが大切です。
親の印鑑証明書
代理人が子どもであっても、所有者である親の印鑑証明書が必要になる場面があります。
「子どもが手続きをするから、子どもの印鑑証明書だけあればよい」というわけではありません。
不動産の所有者はあくまで親なので、売主である親について必要となる書類を確認する必要があります。
親の本人確認書類
代理売却の場合も、親本人の本人確認が必要になることがあります。
運転免許証やマイナンバーカードなど、親の本人確認書類を準備しておきましょう。
代理人である子どもの本人確認書類
実際に手続きを行う子どもについても、本人確認書類が必要になることがあります。
親の本人確認書類とあわせて、子どもの本人確認書類も準備しておくとスムーズです。
親の判断能力が低下している場合は必要書類が変わる
親が認知症などによって判断能力が低下している場合は、単純に子どもが委任状を書いて代理すればよいわけではありません。
不動産の所有者である親本人が契約内容を理解して意思表示できるかどうかが重要になるためです。
判断能力が十分でない状態で、子どもが親の代わりに勝手に売買契約を結ぶことはできません。



親が認知症になった後は、委任状だけで子どもが不動産を売却できるとは限りません。
親が認知症になった場合の実家や不動産管理については、親が認知症になったら実家はどうなるのかも確認しておきましょう。
また、認知症の親の不動産を家族が勝手に売却できない理由については、認知症の親の不動産を勝手に売却できない理由で詳しく解説しています。
成年後見人が売却する場合
成年後見制度を利用して成年後見人が親の不動産を売却する場合、通常の代理売却とは必要な書類や手続きが異なります。
成年後見人であることを証明する書類のほか、売却する不動産の資料などが必要になります。
また、親が住んでいる自宅を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要になるケースがあります。
そのため、判断能力が低下した親の不動産を売却するときは、通常の「委任状を用意して子どもが代理する」という方法と同じように考えないことが重要です。
成年後見制度や家族信託のどちらを検討すべきかについては、認知症の親の不動産売却は家族信託と成年後見どっちかも参考にしてください。
親が亡くなった後に不動産を売却する場合の必要書類
親が亡くなった後も、不動産の登記名義が親のままになっている場合があります。
この場合、親が亡くなったからといって、そのまま子どもが売主として不動産を売却できるわけではありません。



親が亡くなった後の不動産売却では、まず相続関係と不動産の名義を確認しましょう。
まず、相続によって不動産を取得する人を確定し、必要な相続手続きを進める必要があります。
親の家を相続した後に必要になる手続きや問題については、親の家を相続した後に困ることでも確認できます。
相続登記に必要になる主な書類
相続登記では、ケースに応じて次のような書類が必要になります。
- 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本など
- 相続人の戸籍関係書類
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑証明書
- 不動産の登記事項証明書
- 固定資産評価証明書など
必要書類は、遺言書があるか、遺産分割協議によって相続するのか、法定相続分による相続なのかなどによって変わります。
相続登記をしてから売却する
親名義のままになっている不動産を相続した場合、相続登記を行って不動産の名義を相続人へ変更したうえで売却するのが基本です。
相続登記は2024年4月1日から申請が義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
相続した家を売却するときの具体的な手続きや流れについては、相続した家を売るまでの流れも参考にしてください。
相続登記がされていない状態では、権利関係が確定していないため、不動産の売却をすぐに進められない場合があります。
親が亡くなった後に売却を考えている場合は、売却のための書類だけでなく、まず相続関係の書類を確認することが重要です。
親名義の不動産を売却するときに書類が見つからない場合
親名義の不動産では、長年保管していた書類が見つからないケースもあります。
特に確認しておきたいのが、登記識別情報や登記済証(権利証)です。
権利証が見つからない
登記済証や登記識別情報を紛失していても、それだけで不動産を売却できなくなるとは限りません。
ただし、所有者本人であることを確認するための別の手続きが必要になることがあります。
紛失に気づいた段階で、不動産会社や司法書士に相談して、どのような手続きが必要になるか確認しましょう。
親の印鑑証明書が取得できない
親本人が売主となる場合、印鑑証明書などの公的書類を準備する必要があります。
親が遠方に住んでいる場合などは、取得のタイミングも含めて不動産会社や司法書士に確認しておくと、契約や決済の直前になって書類が足りないという事態を避けやすくなります。
親名義の不動産を売却するときは「誰が売主なのか」を最初に確認
親名義の不動産を売却するとき、必要書類を考える前に確認しておきたいのが、誰が売主として手続きをするのかという点です。
親本人が判断能力を保った状態で売却するのであれば、通常の売主として必要な書類を準備します。
子どもが代理するのであれば、委任状など代理関係を証明する書類が必要になります。
親の判断能力が低下している場合は、単純な委任状による代理では対応できないことがあり、成年後見制度などを検討する必要があります。
親が亡くなっている場合は、相続関係を整理して相続登記を行ったうえで売却することになります。
つまり、同じ「親名義の不動産を売却したい」というケースでも、親の状況によって必要書類は大きく変わります。
親名義の不動産を売却する前に確認したい書類
売却を検討し始めた段階では、まず手元にある不動産関係の書類を確認しておきましょう。
- 登記識別情報または登記済証(権利証)があるか
- 登記簿上の所有者が親になっているか
- 親の住所と登記上の住所が一致しているか
- 印鑑証明書を準備できるか
- 固定資産税納税通知書などがあるか
- 親本人が売却手続きを行える状態か
- 子どもが代理する必要があるか
- 親が亡くなっている場合は相続登記が済んでいるか
これらを確認しておくと、売却を依頼するときに必要な書類を整理しやすくなります。
親名義の不動産売却で必要書類を準備するときの注意点
親名義の不動産を売却するときは、「不動産売却に必要な書類」だけを確認すればよいとは限りません。
親本人が売るのか、子どもが代理するのか、親の判断能力が低下しているのか、すでに亡くなっているのかによって、準備する書類や手続きが変わるためです。
特に、親が判断能力を失った後に子どもが委任状を作成して売却することや、親が亡くなった後に名義変更をせずそのまま売却することはできません。
売却を始める前に親の状況と不動産の名義を確認し、必要書類を整理しておくことが大切です。
まとめ|親名義の不動産は売却する人と親の状況で必要書類が変わる
親名義の不動産を売却するときは、一般的な不動産売却の書類だけでなく、親の状況に応じた書類を準備する必要があります。
親本人が売却する場合は、登記識別情報または登記済証、印鑑証明書、実印、本人確認書類などが基本になります。
子どもが代理する場合は、これらに加えて委任状などが必要になります。
一方、親の判断能力が低下している場合は、単純な代理売却では対応できず、成年後見制度などが関係することがあります。
また、親が亡くなっている場合は、相続関係を確認して相続登記を行うことが先になります。
「親名義の不動産だから、子どもが代わりに売ればいい」と考えず、親本人が売却できる状態なのか、代理が必要なのか、相続が発生しているのかを確認してから必要書類を揃えましょう。








